染めない生活

52歳で毛染めを止めました。

「老後の資金がありません」


スポンサーリンク

いろいろと身につまされる小説を読みました。

「老後の資金がありません」(垣谷美雨 中公文庫)です。

 

主人公の50代主婦の篤子は夫とともに真面目に働き、1200万円ほど貯金していました。

それが娘の結婚式に500万、舅の葬儀と墓に400万使い、残りは300万円を切ってしまう。

なのに、姑への仕送りが9万円。

そんなタイミングで夫婦そろってリストラされてしまいます。

 

こんな内容ですが深刻さはなく、ユーモラスで楽しく読めます。

 

娘の派手婚

 

28歳で結婚することになった娘のさやかのお相手は、手広くスーパーを経営する家の息子。

篤子と夫は、娘に肩身の狭い思いをさせるのは可哀想だと結婚式の費用を出してあげるのです。

結婚式にこんなにお金をかけるのはおかしい、しかもそれを自分たちで出すならともかく親が出すのはどうなんだ、と思いながら。

 

さやかは幼いころから気が弱くおっとりした子で成績も振るわず、それでもなんとか偏差値の低い女子大に潜り込めました。

しかし就活も上手くいかず派遣で働くのですが、契約も延長してもらえず、結局、学生時代にアルバイトしていた雑貨店で働いています。

 

費用のかかる結婚式を挙げた後も、夫との夫婦仲を心配するようなことがあったりと、子どもへの心配は終わることがないんだと思わされます。

 

姑を引き取る

 

お金がなくなったため、姑への仕送りが苦しくなり豪華な老人施設を引き払って自宅に引き取ることになります。

この姑が意外と思い切った性格で、篤子はハラハラしながら振り回されます。

 

その他の登場人物

 

赤ちゃん教室で出会い、30年近くの付き合いになるサツキは無駄なものは一切買わない節約主婦。

夫婦でパン屋を営んでいますが、近くに立て続けにパン屋ができてお客を取られ、生活は苦しくなっています。

 

主人公の敦子とサツキが月に1度通っている、公民館のフラワーアレンジメント教室の講師、城ケ先綾乃は70代とは見えない優雅な美人。

見るからにお金持ち風のため、お金のためでなくお花を教えることが好きだから仕事しているのだろうと思っていた城ケ崎にも、なかなか大変な事情があることがわかってきます。

 

そのほか、夫の浮気相手が妊娠してしまった主婦の美乃留、子どもの頃に自分よりも兄の方が親に可愛がられたことをまだ引きずっている夫の妹など、個性的な人物が登場します。

 

本のあとがきで作家の室井佑月は、

「豊かな老後に不必要なものは、くだらない見栄。そして、必要なものは、友達(とあたしにはいないけど仲の良い夫?)。」

と書いています。

本のラストを読んでも、そうかも、と思います。

それが当たっているかどうかは、これからの年月で確認することになりますね。