染めない生活

52歳で毛染めを止めました。

本当にこんなことが?「女たちの避難所」


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「怒りで読む手が止まらない」という帯の惹句に惹かれて手に取った本「女たちの避難所」(新潮文庫)。

作者は、「老後の資金がありません」の垣谷美雨です。

 

somenai.hatenablog.com

 

確かに読む手の止まらない小説でした。

 

登場人物

 

東北大震災で被災した3人の女。

福子(55)は、働かない夫が行方不明であることに密かに安堵しています。

夫を亡くした遠乃(28)は、傲慢な舅と義兄と離れたいものの乳飲み子を抱えているためままなりません。

シングルマザーの渚(44)は、避難所を巡ってようやく息子に再会できます。

 

避難所で

 

こうした3人が同じ避難所で知り合うのですが、さまざまに理不尽なことが起こります。

「私たちは家族同然。絆と親睦を深めるために仕切りなんてものはいらないんです」

そう言って仕切りを使わせない避難所のリーダーである男性。

 

美貌の遠乃はトイレに行こうとしたとき、男たちによって危うく車の中に引きずり込まれようとします。

 

また、義捐金は世帯主に入るため、大切なお金をボンクラナ亭主が好き勝手に使ってしまうという事態も起きるわけです。

 

避難所で、お弁当ばかりだと体に良くないだろうと女たちで食事作りをするようになります。

200人分の朝昼夕、仕事に行く人のお弁当を作る仕事は重労働です。

仕事に復帰する人が増えると、調理する人の数が減る。

仕事を探しに行きたくても調理で時間がなくて行けない。

また年寄りたちは体力がないことを自覚しているので、絶対に無理をしない。その分、50代以下の人たちに負担がかかる。

などなど、難しい問題が続出。

 

周りで起こる出来事だけでなく、夫や舅らとの関係、子どものいじめ問題など、震災前から存在した問題の数々が明るみに出てきます。

 

明るさも

 

作者は資料を片端から読み、実際に被災した人からも話を聞いて小説を書いたそうです。

考えただけで気の滅入るようなことが実際に起こっていたのです。

でもそこはうまく書かれているので、腹が立つだけでなく、互いの助け合いにしんみりしたりホッとしたり、読む楽しさもちゃんと書かれています。

 

作者の垣谷さんの小説は、「老後の資金がありません」でもそうでしたけど、暗く、深刻になりすぎません。

それでいて、今まで気が付かなかったようなことを教えてくれます。

 

小説では、3人の女性は力を合わせて生きていきます。

楽観は全然できないけれど、それでも前を向いて生きて行く。

 

とにかく自然災害の多い日本。

他人事ではないという思いがしました。